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ページレイアウトと日本語組版ルール

商業出版で使う、ページレイアウトソフトはアメリカ製のものを日本語用に(無理やり)ローカライズしたものです。1バイト文字を前提に作っていますから、日本語組版ルールはほとんど考慮されていません。
ごく一部に、純日本製ページレイアウトソフトがあったものの、普及できなかったようです。その間隙を突いて、業界紙などに中国の方正が進出しています。方正のシステムは、テンプレートによる自動組版が主です。

欧文レイアウトのスタイルは、レフトフラッシュ、ライトフラッシュ、センターフラッシュ、ボックスの4種類です。このうちボックス(左右均等割付け)はH&Jの機能で制御されます。基本的にはジャスティファイ(ワード間のスペース調整)で左右均等にします。行末に文字数の多いワードがあった場合はハイフネーションで処理されます。

日本語で使う場合は1文字がすべて左右同一サイズのため、レフトフラッシュであっても、左右均等にそろってしまう関係からか、レフトフラッシュとボックスをあまり厳密に区別しません。
また左右均等割り付けの場合は、ジャスティファイのみで処理できますので、自動ハイフネーションを使うことはありません。(使っても日本語では機能しません)
たまたま、日本語と欧文が混在した文章で、行末に長めの英単語が入ると、その英単語をハイフネーションで処理せず、次行の行頭に持っていってしまうため、行の途中で強制改行されます。
そして、残った文字(日本語)のスペースを空けて左右均等に割り付けます。理由は、2バイト文字の場合、1文字が1単語として扱われるためです。

この結果、文字間が異様に空いてしまいます。ページレイアウトではその場合手作業で調整します。商業出版に使うための、日本語対応ページレイアウトソフトでさえ、この有様です。
HTMLやCSSではそのような機能もありません。最近のブラウザーは禁則処理はなされているようですが(初期の頃は句読点が行頭に来たりひどいものでした)。

ePubは、欧文レイアウトでも不十分なのが現状です。根本的な解決は今後の課題

Google eBook storeは、さまざまなデバイスで版権フリーのタイトルを読むことができます。ブラウザーで見たところ、行間や文字の大きさをある程度設定できるようです。デフォルトではボックスでした。H&Jで制御されています。行末にシラブルの長いワードがある場合、やはり強制改行されワード間が大きく空いた行が見受けられます。試みにレフトフラッシュにしたらハイフネーションが解除されました。
※現在はGooglePlay に統合され欧文フリータイトルは見当たりません。

現段階ではβ版だと思われますが、普通のブラウザーよりまし、といっても読みやすいものではありません。欧文組版に特有の「イニシャルキャップ」なども、私の見た限りでは使われていません。(あれは大文字小文字がある欧文ならではのもの、日本語表記にはなじまないですね)
欧文でもこれですから、日本語はとうてい期待できません。これからも日本語組版独自のルール(ぶら下げ、泣き別れなど)が組み込まれることはないでしょう。

日本語組版独特の、段落行頭1字下げというものがあります。欧文でもパラグラフの最初を下げる表記法はあります(Google eBookもそうでした)。これはインデントで、何文字分下げというものではないのです。
1字下げの習慣からでしょうか、DTPなどでもスペースを入れてしまうことが多いようです。本来CSSで指定しなければいけないもので、電子書籍など他媒体に流用した場合、行頭スペースは無視されます。欧文のスペースはワード間調整(ジャスティファイ)のためですから、行頭に来ることはあり得ません。

個人的に日本語組版の1字下げは、読みにくいと思っています。P要素は1行開けでよいのではないでしょうか。欧文と違い2バイト文字は天地がすべて同一のため、行間のメリハリがなく可読性は落ちるのです。
これから先も、ePubが完全に日本語に対応することはないと断言できます。また旧来の日本語組版ルールを墨守する必要もないのです。新しい組版ルール、たとえば分かち書きなどで対応した方がいいでしょう。(近日中に、電子デバイス向けのレイアウト私案を書きたいと思っています)

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