AIweb publish 縦書き・横書き

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日本語の縦書きについて

ヒラギノ(写研系)小塚(モリサワ系)縦書きが日本語文化のように言われている。出版人も疑うことなく、そのように思い込んでいる者が多い。
そうではない、過去に日本の書籍で縦書きが多かったにせよ、その時代の筆記具や媒体に応じたものにすぎないのだ。電子書籍等の新しいメディアにも縦書きを強いる必然性は全くない。

漢字はもともと象形文字なのだから、必ずしも縦書きを前提としていないだろう。縦で書くようになったのは、筆が用いらるようになって以来ではないか。筆はやはり縦書きが書きやすい。日本固有の理由として、かなの連綿も関係あるかもしれない。

縦書きのルーツを竹簡・木簡とする向きもあるが、簡という字が竹札を表すように、もともとあれは単なるメモ帳・荷札である。竹片を縦に持って書いた方が書きやすかっただけのことだ。
紙が使われるようになってからも、わざわざ短冊を作ったり、巻紙に手紙を書いているのを見れば分かる。漉いた状態の紙は一枚の四角いもの、これを細長く切って、貼り合わせたり巻いたりしている。なぜそうするかといえば、その方が書きやすいからだ。

アルファベットの横書き、特に筆記体は、葦ペンとか羽根ペンで書くようになってから確立されたのではないか。これも横書きの方が書きやすいことは容易に想像できる。
つまり縦書き・横書きの違いは筆記具とメディアの種類、書き方に由来するものである。(アラビア文字が右から書く理由はよくわかりません)

だとすると、日本語はどうしても縦書きでなければならない、という理由はないわけだ。視認性という観点から見ると、むしろ横書きの方が読みやすい。人間の目は左右に視野が広いからだ。(Viola Sidereaさんの人間の視野とディスプレイが参考になる)

それでも縦書きが読みやすいというのには、大きな理由がある。活字のデザインである。

縦組みが読みやすいのは、文字(特にかな)デザインのせいに過ぎない

活字のうち、漢字は正方形を基準にしてデザインされている。明朝体という字体はイギリス人が中国人に作らせたもので、筆で書いたものとかなり違った姿をしている(羽根ペンで書いたローマン体を基にしたと思われる)。直線を基調とし、縦に組んでも横に組んでも差し支えない字体だ。(当時の印刷物を見たことがないので、印刷の際に横組みだったか縦組みだったかは知らない)

明治時代に中国から活字が輸入され、活版印刷が始まったが、困るのはひらがなカタカナである。中国の活字は漢字だけだから、日本で作るしかない。
ご存知のように、ひらがなは漢字の草書体から作られた。草書体は、筆で書くようになってからできたもの、基本、縦書きしかできないのだ。欧文スクリプト体で縦書きがないと同じく、横書きの連綿はあり得ない。当然のように、日本で最初の活版印刷は縦組みだった。

それを引き継いで、写植文字も縦組み用に作られている。特に石井書体がそうだ。近年になって横組みに最適化された書体もできてきたが、見なれた活字体は縦組み用にデザインされているのだ。

試みに、ヒラギノ明朝と小塚明朝の縦書きを比べてみた。漢字は(日)などが多少異なるもののあまり違いはない。かなを見ると横幅がかなり違うのがわかる。ヒラギノはやはり写研系らしく、縦組みを意識していて読みやすい。小塚のかなはいかにもモリサワ系、どちらかというと横組みが読みやすい気がする。

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