AIweb publish スクロールとページ組み

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スクロールとページネーション、電子出版と絵巻物の見方・見せ方

スクロールは、通読で内容を理解するのに向いています。ページ組みは一覧性が高く、資料として閲覧するのに優位です。スクロールは可変レイアウト、ページネーションは固定レイアウトと捉えていいでしょう。

キンドルに関しては、Einkの特性からスクロールしないと思いますが、ページネーションもないようです。書き換え可能な電子ペーパーに通信機能を持たせたという独特なもので、いままでの概念に当てはまりません。
むろん読み物のために開発された端末で、資料として使うことは最初から念頭にないものです。

ページネーション

冊子形式の書籍は、ノンブルを振ること(ページネーション)で初めて本になります。編集作業の最終工程はノンブルを通すことです。
和綴じの冊子は、形態からして巻子本を綴じたのかもしれません。巻子本は作るのに手間がかかりますから、簡易製本といいますか。そのため、ページネーションという考え方もなかったようです。

ページネーションがいつ頃からのものか、私はよくわかりません。索引とともに、資料としての使い勝手から考えられたものでないでしょうか。
けっして変動してはなりませんから、固定レイアウトであることは必須です。
そうすると紙媒体(物理書籍)にふさわしい方式であっても、電子書籍にはなじまないという気がします。

スクロール

紙芝居のおじちゃんは、画面遷移にも工夫をこらしていました。素早く抜き取ったり、途中で止めたり、まさにスクロールを表現に取り入れた先駆者です。
意識していたかどうか知りませんが、おそらく絵巻物の見方と同じものだと思います。作画でも、その辺の演出を考慮したかもしれません。

絵巻物は、ちょうど肩幅くらいずつ展げて見ます。天地が9寸ほどのサイズが多いので、比率でいうとほぼ16:9の画面になる見当です。
絵巻物が俯瞰図なのは、見る場面(環境)を考えてのことです。机や畳の上に置いて座って眺めますから、斜め上からの視線になります。
絵巻物もスクロールしながら見るものです。ですから、ひとつの画面にちょうどタイムラインのように、時間推移を表したものがあります。

電子書籍の場合

紙媒体=固定レイアウト=ページネーション(とインデックス)
電子媒体=可変レイアウト=スクロール(とリンク)≒絵巻物・紙芝居
で、大体合っていそうです。

電子媒体の見方・見せ方は、デバイスのサイズ・比率に囚われずスクロールを伴うとしたら、絵巻物や紙芝居そのものでしょう。
しかも電子書籍なら、紙にはない手法を取り入れることができます。とくに平面表現が得意な(スーパーフラット)日本のアニメーション映像技術・演出技法は、Enhanced eBookに親和性が高いと思われます。
紙芝居までは可ですが、飛び出す絵本や、質感・手触りを求める特殊な装幀は適当ではありません。

絵巻物に限りません。文字だけの巻き手紙・経巻というものもあります。リフロー型のキンドルは、考え方としては巻き手紙に近いといえます。
電子書籍(電子出版)の表現はページネーションではなく、スクロールが都合よいものです。ページ立てにこだわることはありません。

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